崩壊していく教団!NHKドラマ「仮想儀礼」恐ろしい展開に!

前回から人が殺され、笑えない展開になってきたNHKスペシャルドラマ「仮想儀礼」

第9話『魔境に堕ちる』

様々なことが暴かれ、世間を騒がせる存在になってしまった「聖泉真法会」。今回はどんな出来事が巻き起こるのでしょうか。

崩壊していく教団!「聖泉真法会」の信者がどんどん脱会

聖泉真法会の一番のスポンサーであった、森田(尾身としのり)も精神的なショックから入院し社長からも退くことになる。今まで秘書としてサポートしていた増谷(奥野瑛太)からも「素人に操れるものではない」と社長が交代したので会社から退去するように告げられる。

増谷はもともと宗教大学出身で宗教には詳しい設定でした。森田の言いつけで正彦たちをサポートしていましたが最初から冷めた目で見ていた印象でしたね。見透かしているような。

マスコミの執拗な取材や悪評により、家族が教団から身内を取り戻そうと教団前に集まってくる。設立当初から入信していた圭子(峯村リエ)は家族の元へ帰ることを決断し、教団を去っていく。

過去、そういう場面がたくさんありました。親が必死に教団の前で帰ってこいと懇願するニュース。

次に、富裕層の元信者は手切れ金と口止め料を支払い、教団から脱会する。

自分が入信していたことが黒歴史と思った金持ちは、お金で解決する、すごく現実的なエピソードであるあるネタだなと思いました。

終盤でとうとう広江まで脱会することになる。秋瞑は広江に対し「サタンに取り憑かれている」と決めつけ、除霊され、苦しい思いをしていた。最後に正彦から「あなたは教団の良心でした。ありがとう。」と言われ広江は涙を浮かべて去っていく。

そういえば、広江さんはとっても天真爛漫な設定で、ほっとする存在でしたね。石野真子さんのかわいらしい主婦設定がほっこりしていましたが離脱で残念です。

次に、真美(川島鈴遥)も教団から離れるように正彦に促され、正彦の実家に匿(かくま)うことになる。

崩壊していく教団!サタンに取り憑かれた信者・秋瞑(しゅうめい)の暴走

教祖・正彦の稀にみる誠実さに惹かれて入信していた、如月秋瞑(しゅうめい)(美波)。霊感があることで除霊や占いを生業にしていたが、正彦が以前書いたゲームシナリオを見つけ、これを経典と信じてしまう。そして自らを菩薩とも思い込んでしまう。

警察や政治家やマスコミはサタンの使いで、サタンが望む最終戦争を阻止することこの教団の役目だと信じ込んでしまう。

人間は思い込んでしまうと修正するまで大変です。しかも宗教関連は自分の受け止め方次第な部分もありますよね。同じ言葉でもその人の受け止め方で違う解釈されることもあります。

ゲームシナリオ「グゲ王国の秘法」を、時が満ちたのでわざと信者たちに見せたのだと思い込む秋瞑。行動はどんどん暴走していきます。

そしてこの回の最後の場面では真美の両親を縛り、血を流す父親が…。その近くには秋瞑が包丁を持っていた。正彦と誠は教団に帰りその光景を目にして驚く。

崩壊していく教団!すれ違う親子の想い、そして仮想と幻 その①

真美は信者ではないが、設立当初からずっと教団にいたメンバーのひとり。正彦からこの教団での出来事を真美の視点から公平な目で書き留めてほしいと頼まれていた。

真美は家族に連れ去られ、脱会して家族の元に帰ってくるように説得される。しかし真美は母親からの束縛とヒステリックさに嫌気がさしていた。家族の元には居場所なかった。そして脱走し、教団に戻る。

親は知らず知らずのうちに、子を自分の持ち物かのように勘違いしてしまうことがあります。あなたの為なのよ、と言いながら自分の為だったり。子は一人の人間で意思があり感情があります。親が思う通りなんてならないのです。

一方、誠は自分の母親の様子をこっそり見に行っていた。いまだにカルト宗教団体「恵法(えほう)三倫会」に入信していることを確認する。現在幸せかどうかはわからないが、心が救われてほしいと誠は願っている。

意思がない幼い頃から宗教に入信させられていた母親への複雑な感情。それでも自分の母親は憎みきれないのが本当の気持ちでしょう。いまだ宗教に陶酔していても、尚、母親に対しての愛は不変なんです。

雅子(松井玲奈)の親が教団前に迎えに来る。父親は、「子が道に迷わないようにすること」とマスコミの前で発言するが、雅子は兄からの性犯罪を暴露し、うすうす感じていたのに放置していた、と訴える。しかしマスコミは聖泉真法会をセックス教団と呼び、信者と教祖の性関係を指摘する。

崩壊していく教団!すれ違う親子の想い、そして仮想と幻 その②

ともあれ、雅子も真美も帰ろうとはせず真美が突然発言します。「万物は仮想と知りなさい、あらゆる出来事は幻です。苦しみも痛みも喜びでさえも幻です。執着は虚しい。モノや人への執着は捨てなさい、本来の魂、内なる仏を信じなさい。」(以下省略)正彦が作った教団の教えです。

なんと深い言葉でしょうか。宗教でなくとも日々の生活の中での物や人への執着は本当に必要なのでしょうか。個人的に日頃感じて疑問に思っていることのひとつです。

たとえば、通帳に書かれている金額の数字。本当にそこに現金があるかのように記載されているだけのただの数字。仮想と言われればそうかもしれない、とたまに思うことがあります。

娘を連れて帰れない親はマスコミにアピールします。「昔はいい子だった。」「親の言うことをきく、素直な子だった」と。

本当にそうだったのでしょうか。親が勝手に思い込んでいただけかもしれません。仮想、幻。

正彦の実家に真美を匿(かくま)う手立てをした直後、真美が車に戻ってくる。その手には正彦への数万。正彦の父親からのお金だった。正彦は実家に向かって頭を下げます。

どんな状況下にあっても親は子を信じ、出来る限りのことをしてあげたいと思います。たとえ犯罪を犯したとしても、親だけは子を信じるのでしょう。

ドラマ「仮想儀礼」9話の感想・まとめ

どんどん話が深刻な社会問題へと広がっていきます。終盤には秋瞑が包丁を持っていたところは恐ろしい場面でした。

過去、宗教団体の実話でも暴走した信者たちがいろんな事件を起こしたことがありました。宗教だけではなく、なんでも暴走すると本末転倒、大枠からずれてしまいとんでもないことが起こってしまいます。

この回の真美の言葉には深いものがありました。万物は仮想です、執着を捨てなさい。これまでもいろんな経典や真理の言葉として聞いたことはありますが、ドラマに照らし合わせてのこの言葉はとても刺さるものがありました。

自分のなかにもいろんな執着があり、物質世界のなかにどっぷり浸かっていることを思い知らされます。いつも忘れがちですが、本当の幸せはモノやカネではなく、愛で心が満たされることなんですけどね。

それにしても、正彦が実家からの帰路で、夜の都庁を見上げる場面が印象的でした。その過去さえも幻だったのでしょうか。

来週はとうとう最終回。楽しみですが、終わってしまうのが残念です。

 

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