沖田X華(おきたばっか)原作ドラマ「透明なゆりかご」3夜再放送 感想その4

2018年放送されたドラマ「透明なゆりかご」。「お別れホスピタル」が放送されるのを記念して3夜連続で再放送されました。

2024年1月30日(火)午前1時20分~第9回・最終回(月曜深夜)放送分のあらすじと感想です。

沖田X華(おきたばっか)原作ドラマ9話「透明な子」

由比産婦人科に小学生の女の子が性被害にあったと母親から電話がかかってきた。やってきた女の子はアオイの顔見知りだった。

診察の結果、日常的に性的虐待を受けていたことがわかる。アオイは自分が接していた時に気が付いてあげられなかったと、人の心が理解できないことに苦悩する。自分の母親に「私は人の心がわからないから、お母さんは苦しかったよね、ごめんね。」と告げる。

嫌なトピックスですよね、性被害。それも小学生だなんて。いつも被害にあうのは弱きもの。しかも子供を狙うなんて決して許せない。傷ついた心と身体はもとには戻らない。

口を開かない被害少女はアオイと接することで、義理の父親にみんなすることだからと言われて我慢していたと告白する。再婚してお母さんが嬉しそうだったから言えなかったと。

子供はいつも、大人が思うよりも親のことを考え、観察しています。子供なりに親の幸せを願っているんですよね。本当の父親に性的虐待を受けていた事件もたくさんあります。男性に疑問を持ってしまいます。自分さえ良ければいいのか、と。

警察へ通報することを勧められる母親。人に知られたり、いろんな不安を抱えてしまうが、由比医院長は「たくさんの人が助けてくれるはずです。私たちもお手伝いします。」と言ってサポート先を紹介してくれます。

アオイは思い悩み母親に心中を告白します。被害少女の母親が支えきれなくなって少女を見放したりしたら嫌だ、と。

アオイの母は「少女と少女の母の先行きはわからない、でも私はあなたことを決して見捨てたりはしない。あなたの事がとっても大事、大好きなの。」と後ろから抱きしめます。…じわっと涙が出るシーンでした。

望めば救いの手を差し伸べられる。私はそう信じることにした。~アオイの語り

現実に起こる悲惨な出来事。どんなことがあっても支えてくれる人がいて、それを感じることが出来れば乗り越えていけるのかもしれません。乗り越えられる人のところにしか問題は起きないとよく聞きます。しかし、性被害は許されることではありません。

沖田X華(おきたばっか)原作ドラマ10話「7日間の命」

初妊婦の胎児の内臓に問題があることがわかり、出産しても長く生きられない可能性があるとこがわかる。中絶も視野に検討するが産むことを決断。

とても難しい決断です。生き延びられるかわからない、もしかしたら大丈夫かもしれない。せっかく宿った命。胎動を感じる女性にとって、簡単に決断できることではありません。

出産後に積極的治療(保育器に入れ、手術を受けたりすること)を受けるかを問われた夫婦は、苦しんだり寂しかったりするよりも、最後まで一緒にいて看取ってあげたいと治療しない選択をします。

無事に出産し、夫婦はひとときの幸せな時間を過ごします。医院では看取りは経験がないがスタッフ医院長一丸で協力することに。

こんな温かい病院、素敵です。

そして赤ちゃんは夫婦が看取る中、静かに息を引き取ります。母親は、この子はどんな気持ちだったんだろうと泣き崩れます。もっと生きたかったのかもしれない、と。

アオイは「人の気持ちがわからないって苦しいですよね。どんなに考えても自分じゃない人の気持ちはわからないんです。だったら一生懸命考えて、出した答えを信じるしかない。」

私は母にギュっと抱きしめられたとき、すごく嬉しかったです。子供がお母さんにしてもらいことってそれくらいじゃないでしょうか。」

もう、涙腺崩壊、再び…。ほんとうにそうなんですよね。愛されていると感じること、です。

ここは、生まれる命と消える命が絶えず交差する場所。でも、ともやくん(命が絶えた赤ちゃん)は透明な子ではなかった~アオイの語り

沖田X華(おきたばっか)原作ドラマ全話の感想

数々の賞を受賞したドラマ、納得です。原作のうえを行くかのような仕上がりでした。

清原果耶さんの演技はとても良かったです。静かな語りがとてもしみじみとして心に響き、涙をそそります。

医院長役の瀬戸康史さん、婦長役の原田美枝子さん、看護師役の水川あさみさんも温かな病院の雰囲気を見事に作り出されていました。

命の大切さとはかなさを毎回のストーリーのなかで繊細に感じられるとても素晴らしい作品です。

中絶や死産、消えゆく命も生き延びていく命も、同じ命。生き延びた命もさまざまな困難があることも現実。それでも生きていていくことの大切さ。本当にいろんなことを考えさせられる時間でした。

原作者の沖田X華さんも原作を超える仕上がり、と絶賛していらっしゃいました。暗い印象になりがちなテーマですが、清原果耶さんがふんわりと明るい印象を与えてくれます。

最近はコミックの原作をドラマ化することが多く、悲しい出来事があったばかりです。「透明なゆりかご」ではとても丁寧に原作を尊重しながら制作してあったような気がします。

こんな素敵なドラマ、久しぶりに観ました。是非たくさんの方にも観ていただきたい作品です。

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