最終回に始まるマコトの宗教、ドラマ「仮想儀礼」感想まとめ 後編

第10話(最終回)「そして宗教が生まれる」

怒涛の展開から、ラストシーンまでの感想。このドラマって宗教ブラックコメディだったんじゃないの?と思っていたのが簡単に裏切られ、いつのまにか私は「仮想儀礼」信者になってしまいました。

『金の為にインチキな宗教をでっち上げた愚かな二人が真理と営利を追求する有難い物語である』(合唱)ってナレーション聞き納めです。

最終回で誠は天に召され、正彦は天の声を聴く

「万物は仮想、この世のすべては、かりそめなのかもしれない。私たちの人生もささやかな通過点なのかもしれない。だけど、愛するものを弔いたい気持ち、それだけは本物だ。」

正彦は誠の遺体の前で、そう唱えると自らを罰するかのように何度も身体を地面にたたきつけながら、五体投地。誠との思い出を走馬灯のように思い浮かべべる。

出会ったころ、でっち上げ集団をたちあげたころ、貧しかったころ、調子にのってたころ、誠がカミングアウトしたとき…正彦はいつも誠と一緒だった。

全く正反対の人生を送ってきた二人が出会い、時を共にし信頼関係を築き上げ、再期を看取った。正彦の悲しみは想像を絶するものだったのでしょう。

誠が絶命した後、山で一晩中4人は祈り続ける。夜が明けると正彦に声が聞こえてくる。『我の元を訪れよ、我を礼拝せよ、罪の尽きぬまで祈り、生きとし生けるものにあわれみの心をかけるがよい。』

これはもしかすると誠からのメッセージだったのではないでしょうか。正彦にならできる、正彦にしかできないこと、として。

最終回で罪を全部かぶる教祖・正彦

場面は裁判所、正彦の判決は懲役5年の実刑。判決理由は、「聖泉真法会」の教祖として信者たちに指示し、伊藤夫妻(真美の両親)に対する暴行、誠に対する暴行・監禁。

首謀者としてすべての罪をかぶった正彦。秋瞑は懲役2年、雅子と麻子は懲役1年。正彦も3人も控訴することなく、刑が確定した。

傍聴席には、真美、広江、そして誠の遺影を抱えた母の姿もあった。なんでもっと早く誠に接してくれなかったんでしょうかね、お母さん。

その後、4年1か月が経ち、真美と由宇太が正彦の面会に来た。何度も面会申し込みをしたそうだが、やっと会えたのだ。

由宇太が「どうしてインチキ宗教の教祖が、みんなの罪をかぶったのか?」と問う。正彦は、由宇太の問いには答えず、「みんなどうしている?」と尋ねる。

雅子は誰かの色に染まるのを辞めた。刑務所のなかでいろんな人に会って、自分のような人がたくさんいることがわかり、話を聞いてあげたいと思うようになり、カウンセリングの勉強を始めた。

秋瞑は、急にすべての霊能力がなくなり街角で占いを生業にしている。「焼け野原に放りだされたようだ」と言っていたそうだ。麻子が以前言ってましたね、宗教を辞めた時の気持ちで同じ言葉を。

麻子は出所して、『恵方三倫会』に戻った。誠が死んだのが自分のせいだと思い込み、罪を償う場所が欲しかったのではないでしょうか、と真美は言う。

由宇太はもう一度「先生は本当のところ宗教をどう思っているの?」と聞くと、正彦は「私は彼が指示した道を歩こうと思っている」と答える。

真美は「どういうことですか?」と聞くと、正彦は「嘘が(真)マコトになっただけ」と答える。

最終回で『マコト』になった正彦の道先

刑務所内でひとりの老人受刑者に声をかけられる正彦。「あんた、桐生先生だろ」「被害者が毎晩夢の中に出てきて、眠れないんだよ。こんな話だけど聞いてくれるかい。」と話しかけられる。

正彦の背筋が伸び、少し口元がゆるんだような表情で「お話しください。」という正彦の顔は教祖・桐生の顔。その老人受刑者の目にはうっすらと涙が浮かべる。

これが亡くなった誠が望んでいた正彦の姿なのでしょう。深すぎて1度観ただけでは思考がついていきませんでした。

ラストのシーンでは、管理栄養士になった真美が忘れ物を取りに部屋に戻ると、そこには誠が割ったはずのワインボトルで作った「聖泉真法会」のご本尊があった。

粘土でつぎはぎのご本尊の横には『万物は仮想なり』と書もあり、正彦から委ねられていた、教団の出来事を綴ったメモ帳も。ご本尊に合唱して元気に部屋を出ていく真美。

そして『宗教は始まった』のですね。

最終回ドラマ「仮想儀礼」の感想後編 まとめ

嘘が、『誠・まこと』になった。誠が望んだ形になったのでしょう。深い。

後半から怒涛の展開になり、笑えない社会派ドラマへと転換しました。宗教だけではなく、裏社会へのつながりと、そのうやむやさやを描き、悪徳宗教家や悪徳政治家はまんまとやり過ごし、普段通りの生活を送る。はい、実際そのような世の中です。

実社会でも現実となってしまった事件。新興宗教団体に母親が陶酔し家族破壊、そして恨みをはらす事件を起こした息子。それでもまだ母親は信仰している。本当に切ない。それでも息子は母を愛しているのでしょう。

原作者の篠田節子さんも『おもしろい』と云わせた、ドラマ。丁寧な脚本、演出、そしてキャストの素晴らしさ。民法ドラマの視聴率がどんどん下がっている中、このNHKのこのドラマは圧巻でした。

どんな形でもいいので、もっと広く多くの方が視聴できることを願っています。人それぞれ受け止め方は多種多様でしょうが、私は特に母の存在の大きさを感じました。

良くも悪くも母の存在は、子に多大な影響を与えることを痛感します。

まだ、原作を読んでいないのですが、ドラマとは違う部分もあるようなので、ゆっくり読みたいと思います。続編も出来たらいいな~

勝手にネタバレし、書きたい放題書いた感想ブログでしたが、読んでいただきありがとうございました。合唱

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました