こだわるを追求するドラマ、第4話感想前編

NHKBSプレミアムドラマ「舟を編む~私、辞書つくります~」第4話感想前編です。

こだわるを追求するドラマでの、辞書の並べ方

辞書の紙を担当することになった岸辺みどり(池田エライザ)。間借りしている馬締(野田洋次郎)宅からいつもより早く出勤する。午後からあけぼの製紙で会議がある。

早く出勤したみどりは、さまざまな辞書に使用されている紙の色を研究。ふと、天童(前田旺史郎)の机を見ると辞書が全て逆さに置いてあるので、綺麗に並べ直すみどり。

出勤した天童は、岸辺のしわざだろ!と、また逆さに置きなおす。なんで?と聞くと、辞書を棚から指で取り出し、片手で受取り、開く、と3動作で済む。正位置だと、取り出し、受け取り、上下を戻し、開くという4動作になるからだ。

これ、すごいですね。全く気がつきませんでした。たまに取り出すものなら気にもなりませんが、常に取り出す本は逆さまにならべたほうが動作が早い。知恵袋だ!

こだわるを追求するドラマでの究極の紙

あけぼの製紙の社員・宮本(矢本悠馬)とみどりは、紙開発の会議で以前の試作品は『ぬめり』はあるが、重い。次の試作品は、軽量化に成功したが『ぬめり』がなく『こし』もない。こしがあったほうが気楽にめくれるし、こしがないと『ジャムる』と。

『ジャムる』とは、印刷機につまるということらしい。みどりは可愛いですね、と笑ってメモる。

ほんと、ジャムるって、果物のジャムをイメージしていまいます。業界用語なのでしょうか。

色や手触り、ぬめり感以外の手触り、不透明度、などなど改良点はたくさん。宮本は、『テスト抄造』試作品をつくるのに工場を占有できるのは年に1回。

2020年7月に刊行予定なので、製本、印刷、抄造開始、をさかのぼっていくと、2019年12月には紙が完成していなければならない。

ドラマ内は2017年なので、2回しかテスト抄造ができないことになります。本や辞書を製造する工程ってこんなにかかるんですね。知りませんでした。

みどりは「先輩に教わったのは、辞書は興味と知識の『入口』と。用がなくても開きたい辞書ができたら、入り口と出会うチャンスが増やせるってことですよね。」

それを聞いた宮本は感銘し、ふたりは、『究極の紙』を作りましょう!と意気込む。

こんな、前向きでお互いを認め合いながら同じ方向を向く会議って素敵です。良いアイデアがでそうな会議です。

こだわるを追求するドラマでのコミュニケーション能力

宮本からの提案で会議の後に接待したいとみどりを誘うと、みどりがチョイスしたお店は馬締の妻・香具矢(美村里江)の和食店『月の裏』。

香具矢が馬締の妻と知り、宮本は驚き、香具矢(かぐや)の漢字ですかと尋ねると「不良の落書きみたいとよく言われます」と香具矢は答える。

宮本は「具」が「愚」だと「香愚矢、参上」ですかね、香具矢はそっちの方がかっこいいかも、と笑う。

ほんと、それっぽいですね。ひとつ漢字が違うだけで印象が変わるんですね。

前菜を一口食べた後に、SNS大丈夫ですか、と写真を撮る宮本。みどりはSNSしてをいない。

今どき、SNSをしていないなんて珍しいですね。ファッション誌担当だったのに?何か訳ありかな?

馬締の家に着くと、馬締は残業をして遅く帰宅していた。みどりは直帰ではなく帰社すれば良かったですね、というと馬締は、取引先とのコミュニケーションも立派な仕事で馬締の苦手分野なので助かります、と。

香具矢がみどりと会話しながら大笑いしていたことをとても驚いたと。みどりが辞書編集部に来てから、笑い声が増えたし、素晴らしい才能です、と馬締は言う。

コミュ二ケーション能力が高いのは才能です。コミュショの馬締から見ると羨ましいでしょうね。

部屋で仕事のメモをし、スマホで宮本のSNSをチェックしてみると、その夜の和食の写真と共に「月の裏 入り口をつくる作戦会議」と書いてある。

あれ?ちょっと特別な存在になってるのかな?宮本さんのこと…。それと、月の裏という店名とかぐやという名前が「かぐや姫」を連想させる素敵な言葉の組み合わせですよね。

こだわるを追求するドラマでの、後継者探しの逸材?

社外編集者の荒木(岩松 了)と日本語学者の松本(柴田 恭兵)は、蕎麦屋で食事をしながら馬締を探して充てた13年前のことを思い出す。

荒木は定年退職を目前にし松本ともに『大渡海』の実現に奔走するあまり、もう一つの使命、承継することを忘れていた。定年間際に後継者をつくるのは到底無理、しかし、運のいいことに西岡(向井理)の紹介で辞書の申し子のような馬締が現れた。

探せばいるんですね、しかもすぐ近くに。幸せも同じですね、目の前にあるのに気がつかない鈍感な私たちは小さなことで愚痴ばかり…反省の毎日。

松本は、荒木に「後継者探しをしているとき、辞書の神様に祈ったのではないですか?実は私も祈りました。授かったのが、馬締さんという辞書の『申し子』だったのでは。」と言う。

「そして、馬締さんも祈ったのではないでしょうか。『大渡海』を創り終える前に、つくる経験ができるうちに・・・」みどりが映し出される。

なるほど、そういうことだったんですね。きっと、みどりも『申し子』なんですね。深い…。

このご老人のふたりの会話は、とても尊いシーンです。ゆっくりと語り合い、意味深く、未来を託す若者たちを尊重した丁寧な語り口調が好きです。

【申し子】の語釈①ある分野で、優れた能力を持つ人 ③神仏に祈り、授かった子

第4話感想前編まとめ

1回のストーリーの中にずっしりと詰まった内容。丁寧な描写が意味が深く、見逃せません。

申し子ってそんな崇高な意味だったんですね。何気なく使っていますが、とても神話的な要素が詰まっていて、なんだか普段使いの言葉ではない感じになりました。

4話はまだ「図版」の話もあります。是非読んでください。https://tvfreakchannel.net/funewoamu4-2-1149

コメント

タイトルとURLをコピーしました