瀬戸康史 出演ドラマ「透明なゆりかご」3夜再放送 感想その2

3夜連続で放送されたドラマ「透明なゆりかご」。原作は読んでいたけど、ドラマは初めて観ました。由比産婦人科の医院長役・瀬戸康史 がとてもいい!愛情に満ちた医師の姿を演じています。

2024年1月29日(月)午前0時25分~ 第5回から第6回(日曜深夜)放送されたあらすじと感想です。

瀬戸康史 出演ドラマ5話「14歳の妊婦」

9年前、14歳・マリと母親が産婦人科を訪れ、妊娠がわかる。過保護に育てられた少女は結婚して幸せになる事を願って出産するという。相手の男は大学教授と偽り、連絡先もわからない。

母親は、過保護に育てた自分の責任で娘が世間知らずになってしまったと反省し、出産を許して娘に責任をもって自分で考えて行動するように勧める。マリが出産後まもなく母親は突然亡くなってしまう。

14歳で妊娠なんて、子供が子供を産むということですよね。身体にも負担があるだろうし、将来のこともあるし、私が母親だったら産む決断を許可できません。しかし、少女の事をもて遊ぶ、卑怯な男がいるんですよね。本当に許せません。

アオイ(清原果耶)に連いて歩いてきていた男の子は14歳で出産した・マリの子供でした。マリは医院長と婦長と喜びの再会をします。偶然、望月(水川あさみ)は、駅前でマリが貧血で倒れたところを助けたので、お母さん倒れたら大変だよと少年に話します。

少年は、母ちゃん倒れても俺のせいじゃない、と。母ちゃんは俺のことが大好きで世の中で一番大事、それだけはわかる。だから、ばあちゃん(マリの母)が死んだのは母ちゃんのせいじゃない、ばあちゃんは母ちゃんのことが好きだったから頑張ったんだと思う。ばあちゃんは自分が死んだのが娘のせいだって絶対思わないよ、と。

もう、泣けます。少年のセリフ、ちょっと不貞腐れながら言うんですが、感動のシーンです。少年がどれだけ母から愛されているのかをとても理解していて、だから、おばあちゃんも娘を愛していたことを理解しているなんて…

婦長が当時の写真を見つけ、マリが「先生、産ませてくれてありがとう」と言いますが、医院長は「それはお母さんにいってください」と。

更に涙がでます。瀬戸康史さんの静かな演技がとてもいいんです。14歳で出産して、母親はいなくなりどうやってか、子供を育て、その子はしっかりと愛情を感じているなんて。

「お母さんは自分がいなくなることでまりさんを大人にしたんですね」~アオイの語り

瀬戸康史 出演ドラマ 6話「いつか望んだ時」 神回

アオイは、由比産婦人科の前に立っていた不良っぽい少女と知り合い、翌日山奥に安くて簡単に中絶をしてくれるところがあるから、と連れていかれる。古い家には優しそうな老夫婦がいた。

アオイは老夫婦の家で待ちぼうけ、仏壇にハンカチが供えてあるのを見つける。術後、不良の少女が布団で寝かせられる。その間に、同意書いらないって本当ですか、と聞く。

みんな本当の事は書かないし、法律的には必ず必要ではない。ほとんど偽名で、本当は無料にしたいけど違法だから、最低限のお金をもらってる、と。

アオイは、「罪悪感なく、中絶する人が増えませんか、なんども赤ちゃんつくっては殺す、・・・ごめんなさい。」と言ってしまう。

老夫婦は、「看板出してないのにひっきりなしにくる。あの台にあがって、またできたら堕せばいいと思う人はいないと思う、もう少し、女の人が生きやすい世の中になるといいと思う。」と。

老夫婦のおじいさん役がイッセー尾形さん。この夫婦の優しい温かな微笑みが何とも言えません。アオイのストレートな質問に嫌な顔もせず、ゆっくりと答えます。この回、神回です。

不良少女はアオイと同じ年で、はるみ。どうして老夫婦のところじゃなくて由比産婦人科に来たのかを訪ねると、2回目だから老夫婦にがっかりされたくなかったと。普通だったら、説教したり責めたりするがあのふたりは何にも云わない。なんかあったらまたおいでという。

親が厳しかったはるみは、母親と仲悪く喧嘩して飛び出した中1の夜に悪い奴らにひどいことされた。ボロボロになった姿を母親が、汚いものでも見るような態度だった。それから自分の事どうでもよくなった。赤ちゃんは産めない私のところにきて、ちゃんと産んでもらえるところに行けばいいのに。とはるみは云う。

老夫婦は仏壇に置いてあるハンカチを見ながら、今日来た子あの女学生に似てたねと思いだす。20年前、夫婦を訪れて、忘れ物のハンカチを持って追いかけるも、橋から飛び降り自殺をした。「何にも聞かずに、手術して返してあげれば死ぬようなことはなかったかもしれない、ごめんね。」と老夫婦は仏壇に話す。

老夫婦は過去に女子学生を自殺から救ってあげられなかったんですね。だからはるみにも何も聞かないし、何も言わない。みんな既にわかっているんですよね、後悔とか反省とかいろんなこと。それを責めたり問われたりしたくないんですよね。老夫婦の描写がとても美しく、切なかったです。

堕胎した瓶に入った胎児に話しかけるアオイに医院長(瀬戸康史)は「いいことだね。」と。アオイはどうして中絶手術をするのかと医院長に尋ねる。医院長は「断っても別の病院にいくか自殺を選ぶ人もいる、いつか望んだ時命を迎えられるように丁寧に処置をする。中絶も妊娠もどちらも新しい命を迎える仕事だから。」と答える。

本当にそうですよね。中絶と言っても、いろんな事情があります。ただ身勝手に堕胎するだけではないのです。タブー視される話題をとても美しく描いていると感じます。

アオイは、はるみが赤ちゃんを連れて老夫婦を訪ねる風景を思い浮かぶ。いつかそんな日が来ますように、と願う。

「どんなに悲しい結果になっても赤ちゃんは何かメッセージを残してくれていると思う、たとえ来る人を間違えたとしても。赤ちゃんは生れるのも大変、生まれる前も大変、すれ違って会えないこともあるけど、いつか会えるといい。」~アオイは語り

瀬戸康史 出演ドラマ 5話・6話のまとめ

2つのストーリーは若い世代の出産と堕胎。ここに書ききれないほどの想いやいろんな感情が湧き出てきました。

医院長の妊娠と中絶はどちらも新しい命を迎える仕事、という言葉が印象的です。

老夫婦の場面もとても印象的でした。本当の優しさ、とは何だろうと考えさせられました。

7話以降の感想は次回に書きたいと思います。

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