小野花梨が出演の終末医療ドラマ「お別れホスピタル」第3話 感想ネタバレ

終末医療病棟が舞台の「お別れホスピタル」。「死」がテーマではあるもののドラマでは暗くもなく、涙がボロボロでる、という感じでもない。第3話「サンタさんはいるの?」

原作コミックではたくさんのストーリーが描いてありますが、ドラマでは凝縮してうまくまとめあげられています。

脳出血で植物状態の娘は目を覚ますのか

脳出血で10年入院しているひとみ。意識、その他運動機能を司る部分のほとんどは回復が見込めない状態。しかし、必死に看病する母に「目を覚ましますよね」と聞かれ戸惑う辺見(岸井ゆきの)。

「きっといつか目を覚ましますよ 」と即答する看護主任役・赤根(内田慈)。ナースステーションで赤根は「サンタさんがくるかな、と同じよ。」と辺見に伝える。子供にサンタさんのことを聞かれたら、来ないよ、なんて言わないでしょ、と。

優しいウソ、でしょうか。いつか目を覚ますと信じている人を否定しない。それも患者家族の心のケアなのでしょうね。

母親が自宅へ1晩だけ連れて帰りたいと願い出る。しかし、ゴミ箱から癌治療の資料が見つかり、辺見たちは出発目前の車を止める。母親は自分が口腔がんのステージ3であることを告白し、自分がいなくなった後の娘の先行きを案じて娘と心中するつもりだった。

切ないストーリーです。自分がいなくなったら、この子はどうなるって、親だったら誰しも思います。でも、命の期限は自分で決められないと個人的に思います。生きているだけで、いつかきっと良いことがあるはず。そう信じたいです。

木村祐一が演じるアルコール中毒の暴れる患者

何かと大声を出して、騒ぎを起こす患者は重度のアルコール中毒・安田虎太郎(木村祐一)。暴れる安田を止めようと南啓介(長村 航希)が押さえ込み、つい口が滑って「甘えるな、クソじじい、こっちは小5からアル中やってんだよ!」と言ってしまう。周囲は唖然。

南は患者への暴言の処分としてしばらく自宅謹慎を通達される。小5からアル中で20歳で病院に入りきっぱり断酒したと。普通と逆ですね。

南は病院からの正式な処分がでないうちに、辞職を願い出る。それを聞いていた安田は、辞めてあてはあるのかと問う。仕事辞めたアル中の末路は、金がなくなる⇒自信がなくなる⇒また酒を飲む⇒家族や友達、ましてや自分の命はで無くすことになる、と。

自分は未来のおまえだ、そんなんでいいのか、アル中だったのに頑張って資格取って、おまえはエライぞ、と安田は南に伝える。南は、誰もほめてくれなかった、親でさえも、と泣き崩れる。

安田は自分の人生を悔いているからこそ、南を自分のようになってほしくないと救ったんですね。いつもはチコちゃんの中身のおじさんが、迫力ある演技力で圧倒した木村祐一さんでした。

小野花梨が引きこもりの妹を演じる

病院を出ると、辺見の妹・佐都子(小野花梨)が辺見を待っていた。そこへ広野(松山ケンイチ)も通りかかり3人で居酒屋へ。佐都子は調子よくビールを飲み、楽しくおしゃべりをする。佐都子と辺見とそんな時間を持つのは10年ぶり。

辺見の母は、妹・佐都子を溺愛し、辺見は母の視界に入ってなかった、と告白する。広野も自分は周りの期待に応えようとして、誰かと一緒にいるのが苦痛になったと告げる。辺見は広野が『愛は沼』と言ったことに納得する。どこか孤独な似た者同士のふたり。

辺見は妹を家に連れて帰る。佐都子はバイト先が姉の家からが近い、母といるとしんどいと言う。

通帳を開いて姉に見せ、自分の葬式代たまるまで、と思ってると今が楽、と告げる。辺見は「すごい豪華なお葬式にすればいいんじゃない」とほほ笑む。

そもそも自殺願望の妹。すごい豪華なお葬式にするにはたくさんお金を貯めないといけないので、姉なりの長く生きてほしいという遠まわしのメッセージなんですね。

いつもは明るい役が多い小野花梨さん。今回は病んでいる妹をリアルに演じています。

別の日、病院でいろんな出来事があり、滅入る辺見は佐都子にどうして人は死にたがるのか、と問う。佐都子は、「こうじゃなかった自分や辛くない世界を想像するんじゃないかな。辛くない世界があるなら行きたいと。そんなところは無いのに。」

どっちにしろ辛いじゃん、じゃあ、止めなくちゃ、と自殺した本庄(古田新太)を思い出す。

ビルの権利書を渡さない老女を演じる木野花

木野花さん演じる池尻奈津美は資産家。いつも権利書を抱え、人を信じようとしない。聞けばシャンタルビルという地元で有名なビルを建てたようだ。子供がいないので、亡くなった夫の甥が相続しているが、そのビルだけは渡さない。

子供ができなかった池尻は、事業を成功させて周囲を見返した。そのビルは池尻が生きてきた証であり、意地なのだと。

南と安田の会話を聞いていた池尻は親なんてそんないいもんじゃない、とつぶやく。もう一人の患者は、私は良い母親じゃなかった、というと、池尻はあんたも母親だったのね、と。

寝たきりの娘を甲斐甲斐しく看病をする母親を見て、目障りだと言う池尻。しかしクリスマス会で母親が自分が勝手に思うことだけど、今娘は私を見たと聞いて、良かったじゃない、と声をかける池尻。

一見、子供がいないことで偏屈になった老女だが、優しい心も持っていることが伝わってきます。皆、それぞれの歴史があり心の葛藤がありながら生きているのですね。

サンタはいるよと伝えたい、辺見

クリスマス会の日、寝たきりの娘の誕生日でもある。入院患者でのクリスマス会で讃美歌を聞いた母親は娘にごめんなさい、と伝える。心中しようとしたことを悔いている様子。

辺見は親子の姿に安堵するも、自殺した本庄の姿を見つける。追いかけるように屋上へ向かうと広野医師も続いて屋上へ。広野も本庄を見たという。

辺見は「俺はこれからどうなっていくのかな」と本庄に聞かれたのに何も答えられなかった。「娘は目を覚ましますよね」と聞かれたときも答えられなかった、と。皆、全部わかってるのに嘘でも信じないと頑張れないんですよね、と広野に話す。

広野は、親子を止められてよかったです、というと辺見は、これ以上死なれてたまるか!と。本庄に嘘でもなんでも言えばよかった、「サンタさんはいるんですよ、本庄さん」って。人が最後に望むのは希望だと思う。辺見はつぶやく。

屋上からぼんやりする景色のなか、辺見と広野の姿が印象的な場面です。

第3話まとめ

夫の延命治療を願い出た水谷(泉ピン子)は、このところ病院へ顔をだしません。

そして気になっていた看護婦長の赤根は、癌の告知を受けます。ラストのシーンはこの2つの場面が流れました。

来週は最終回。消えゆく命と、消してはいけない命。心にずしん、とくるドラマです。

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