水川あさみ出演ドラマ「透明なゆりかご」3夜再放送 感想その3

3夜連続で放送されたドラマ「透明なゆりかご」。録画に取りためてじっくり観ています。一挙に見ると泣いてしまい次の日に目が腫れてしまいます。

由比産婦人科の看護師・紗也子(水川あさみ)が、とてもしみじみとした演技を披露しています。

2024年1月29日(月)午前0時25分~ 第7回から第8回(日曜深夜)放送されたあらすじと感想です。

水川あさみ出演ドラマ 7話「小さな手帳」

アオイ(清原果耶)の小学校時代の友人・ミカが入院してくる。ミカは自分が赤ちゃんの頃の母子手帳を肌身離さず持っていた。ミカは母親に虐待され、小学校から施設で生活していた。

切ない話です。再婚してできた子供は大事で、連れ子はどうでもいい。どちらも自分が産んだ子なのに信じられません。生まれてきた子供に罪はありません。虐待するなんて。こんなニュースを聞くたびに耳を塞いでしまいます。

そういえば、アオイも自分が母親に叱られてばかりいた子供時代を思い出す。おかしな行動をとり、母親を困惑させていた。そしてアオイも母子手帳を探して出したが、なんて書いてあるのかこわくて読むことができなかった。

その後両親は離婚し、中学生の頃に『注意欠陥多動性障害』(先天的脳機能障害)ではないかと診断された。集中しすぎると周りが見えなくなったり、衝動を抑えられなくなる。

様々なタイプの発達障害が解明されてきたのは最近ですよね。私の友人の子もなんだか育てにくいな、と思って診察受けたら発達障害がわかったと。昔はおかしな子、変な子、としか判断されなかった世間。障害があるとわかると、どういう接し方をしたらよいか、どんな方向性が良いか、見えてきます。

ともあれ、母の喜ぶ顔が見たいと思うアオイ。障害があることをわからずに叱ってばかりいたことを後悔する母。『頑張るの辞めて、笑っていよう』と子育てをする人の言葉を聞いて更に罪悪感を持つ母。そんな折、アオイは母子手帳を開いてみる。愛に溢れた母の言葉がたくさん書かれていた。

障害があることがわからず、どうしてなのかと思いながら育てる母親はとても苦しかったと思います。誰のせいでもないですよ、と医師に言われても自分を責める気持ちもわかります。

虐待されていたミカは、母の死を知らさせたとき「母の事は許せない、だけど嫌いになれない」とアオイに話す。

ミカは自分の出産後、母子手帳にぎっしりとメモを書く。いつか忘れてしまうかもしれないから書いておきたい、と赤ちゃんの成長記録を書き留めていきます。

『小さな手帳は愛情であふれてた。純粋な愛がずっと続くとは限らない。形が変わってしまうこともある。ほんの一瞬でも世界中の誰よりも愛されたという証があれば私たちは生きていける。そしていつか誰かをあいすることもできる気がする。』~アオイの語り

母親との関係はその後の人生に大きく影響してきます。親に虐待された子供は、虐待されても親のことを悪く言わない、大好きというのを聞いたことがあります。生まれた時に少しでも愛されたことは赤ちゃんの記憶に焼き付くのかもしれません。

水川あさみ出演ドラマ 8話「妊婦たちの不安」

ついに紗也子(水川あさみ)が妊娠し、院内は祝福ムードに。しかし紗也子は、仕事を手放すことに躊躇していた。つわりがひどくなっていくも出勤する毎日。

そこへキャリアウーマンの妊婦が来院。妊娠したことで仕事を手放すことに愚痴をこぼす。おなじく来院していた主婦は、年齢と既に子供がいることと経済を理由に中絶手術を受けたが後悔している様子。

紗也子はどんどん体調が悪くなり、医院長からも仕事を休むように言われ帰路の途中でキャリアウーマン妊婦と遭遇。その後ろから中絶した主婦が「お金もあって若くて子供をちゃんと産めるのに贅沢言うんじゃない!」と背中を押され倒れてしまう。

気持ちはわかります。出産したくても環境や経済や年齢で諦める人もいます。命を簡単に断ち切ることなんてできることではありません。それを仕事が大事、と思う気持ちもわかります。なんで今なの?と思うこともあります。どちらの気持ちもわかるような気がします。

押し倒された妊婦はすぐに由比産婦人科に運ばれ、胎児の命は助かる。

紗也子の夫は鈍感で、つわりがひどく仕事も手につかないがいまいち理解できていない。でも夫なりに妻のつらさを知ろうと努力する。

妊婦って身体も心も不安定になりがちですよね。極端に言えば、自分の身体に異物が誕生するわけで、男の人に理解できるはずもない。だけど理化しようとしてくれるだけで、救われますね。なかには妻の妊娠中に不倫したり浮気したりする人もいますが…。

更にうえの看護師を目指す紗也子は子供が誕生することによって、その事をあきらめるしかないのか、と不安になっていました。

すると夫が「俺たちの子供が多少可哀そうでもいい。紗也子が理想の看護師を目指すことで、子供に寂しい想いをさせてもいい。自分はいい母親なんだろうかと悩めばいい。自分もいい父親か悩む。子供のために悩んで、結果家族が幸せだったらそれでいい。」

なんて素敵な夫なんでしょう。そうなんです、完璧なんてあり得ません。子供をもつことによって親も成長するんです。ずっと不安はあり、親も反省し改善し、泣いたり笑ったりしながら家族が笑っていられたらそれが幸せなんですよね。

紗也子は「そっか、不安を抱えるってそういうことか」と吹っ切れる。

『自分が自分でいられなくなるのは怖い。決断をするのも怖い。それでも前に進むしかない。妊婦さんって』~アオイの語り

7話8話の感想

妊娠がわかって、嬉しくて出産を迎え、どんな状況にあっても女性は幸せを感じます。一瞬でもその時の気持ちは本当です。その後状況が変わり、気持ちが変わってもその時の気持ちを思い出せれば少々の困難や苦しみは乗り越えられるはずです。

それにしても、人間はとかく忘れん坊。悲しいことに虐待や育児放棄があることも事実です。

紗也子の夫が言うように、子供のために悩んで、結果家族が幸せだったらそれでいい…深い言葉です。子供のため、と思いながら、自分事を優先に考えてしまったり、アオイのように障害があることがわからないまま、子供につらく当たってしまったり。

生きていくうえで不安がない人はいないでしょう。何かある度に悩んで、考えて、幸せになる方法に進んでいくしかないのかもしれないですね。

この2話つのストーリーを観て、自分と照らし合わせたことがたくさんありました。水川あさみさんの自然で人間らしい感情をむき出しにする演技がとても印象的な8話でした。

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