美波が演じる如月秋瞑、ドラマ「仮想儀礼」回顧録

NHKBSプレミアムドラマ「仮想儀礼」が放送終了しましたが、なんだかロス…。撮りためていた録画を再度視聴しながら、魅力的なキャストの深堀したいと思います。

今回は美波さん演じる秋瞑(しゅうめい)にスポットを当てたいと思います。

美波が演じる如月秋瞑(しゅうめい)独特の雰囲気をかもし出す霊能者

正彦(青柳翔)と矢口誠(大東駿介)が立ち上げた小さな宗教団体「聖泉真法会」。最初からの信者の1人となるのが如月秋瞑。

第2話で「聖泉真法会」の門戸をたたく最初の人が秋瞑。全身真っ黒な装いに黒いサングラス。 誠から「こちらが教祖の桐生慧海(きりゅうえいかい)先生です。」と正彦を紹介されると「この方に悩みを聞いていただけるんですか」と正彦の前に座り込む。

美波さんのエキセントリックで妖艶な姿が、正彦と誠を尻込みさせています。何を言い出すのかわからない『静かなテロリスト』といった雰囲気です。

いろんなものが見えてしまう、霊が見えると話し出す。転々としていた仕事先で、OLの時は取引先の社長の肩に真っ黒い女がかぶりついていた。工場で働いていた時は製品にびっしりとこびりついたウジ虫が見えた。と話す。

正彦は表情を変えず黙って聞いているが、内心はクセが強すぎる…と正彦と誠はドン引き。(笑)

美波さんの演技が怖すぎ。イッちゃってる感がこわっ。

「両親は気味悪がって、親戚の家に預けちゃうし。実の娘とは言え、怖いですよね。」

占いを生業にしているが、占星術と数秘術とかそれなりの理屈をこねるけど、実際のところはお客様の背後にある影を見て霊の言葉を伝えるとたいてい満足してくれる。

それ、どこかで聞いたことがあります。本当に当たる占い師のほとんどが霊感があると。占い学問はほとんどが統計学なので、霊感がある占い師は更に深堀できるそうです。ほんとかな?

秋瞑の悩みは、夜な夜な霊の声や聞こえるので辛い、と。正彦の発した言葉は「あなたは嘘なんかついていない、あなたには霊が見えている、誰かの助けが必要だ。」

秋瞑は、やっと自分を理解した人が現れた、と正彦にすがるような瞳で見つめますが正彦が次に発した言葉は 「あなたに必要なのは精神科だ。精神科に行きなさい。」でした。

「先生のお力では私を治せない?」「はい、私は精神科医ではないので」の会話の後、秋瞑は席を立ち帰り際に正彦に向かって「別れた奥様にとても憎まれていますよ、気をつけてください。」と捨て台詞を言って立ち去ります。

本当に何か見えているんですね。そして、正彦に救いの手を求めたのに精神科へ行けと言われ、玉砕された心境だったお返しの捨て台詞だったんでしょうね。

正彦、正直すぎて滑稽です。(笑)

美波が演じる如月秋瞑(しゅうめい)を見事に演じる美波とは?

とても美しい美波(みなみ)さん。父はフランス人と母は日本人のハーフだそうです。

映画「バトルロワイヤル」(2001年)で女優デビュー。1986年生まれ、現在38歳。

数々の映画、舞台、に出演し、その美しい容姿でモデルとしても活躍。ロサンゼルス、パリ、日本を行き来しながら女優として活躍中。

ドラマ「仮想儀礼」では、主要な役柄を演じています。霊能者に見える容姿もピッタリな役ですね。ドラマの後半では狂気じみていきますが、その気迫のこもった演技も素晴らしかったです。

美波が演じる如月秋瞑(しゅうめい)信者1期生たち

他の宗教団体に入信していた秋瞑は、インチキ教祖に霊能力を利用されていたことにうんざりして、「聖泉真法会」に入信してきた。正彦は自分を信じてくれなかったけど、利用しようとはしなかった、という理由で。

近所に住む山本広江(石野真子)とその友人・藤田圭子(峯村 リエ)、小劇団の元女優、徳岡雅子(松井玲奈)、大学生の伊東真美(川島鈴遥)と教団に入り浸り、祈りを捧げたり、お茶を飲んだり世間話に花を咲かせる。

なんだか楽しそうですよね、生い立ちも年代も環境も違う人たちが集まって、ワイワイと座談会。宗教という名目のもとでの井戸端会議。

現代社会は人とのつながりか希薄になってきています。しかし人は人とのつながりを求めるものです。インチキ宗教であっても、人とのつながりができるのは確かですね。

特に秋瞑は、霊能力があるために両親とも疎遠で、周囲からは虚言癖があると思われ、理解してくれる人が少なかったのでしょう。そんな秋瞑に、仲間ができたのです。

気さくな主婦のおばちゃん達と妹のような存在達、秋瞑にとっては家族のような場所だったのかもしれません。

美波が演じる如月秋瞑(しゅうめい)後半では狂気に満ちた存在に

第7話で秋瞑が教団事務所で偶然に見つけてしまった、正彦が書いたゲームシナリオ「グゲ王国の秘宝」。秋瞑はそのシナリオに陶酔していき、「この教団の教祖の使命はサタンによる世界統制を阻止すること」と信じ切ってしまう。

このゲームシナリオを教団の原書の教えと思い込んでしまうところから秋瞑の思考の歯車が少しずつおかしくなっていく。たまたま秋瞑が魔除けとして長年肌身離さず持っていた石がエメラルドの原石で、「グゲ王国の秘宝」にでてくる仏像の額の宝石もエメラルドだった。

秋瞑はこの偶然を必然と思い込んでしまったのだ。

信じる者は救われる…とはよく言ったもので、秋瞑は「聖泉真法会」の門戸を叩いた自分を信じたのでしょうね。エメラルドってありがちなんですけどね。ルビーとかダイヤじゃないですもんねー。

だんだんと「聖泉真法会」の活動に邪魔が入るようになっていくと、秋瞑は「サタンは国家権力を行使している、最終戦争へ向けたサタンから私たちへのメッセージなんです。」と言い出す。

『万物は仮想である』という教団の教えを目に見えないものに真理があると解釈し、サタンとの最終戦争こそが自分たちに与えられた使命だと陶酔してしまう。

このあたりから秋瞑は暴走していきます。信じるって、違う方向に行くと怖いですね。

個人的見解ですが、秋瞑はとてもピュアな人なのじゃないかと思います。ピュアだからこそ何かに陶酔しやすいのかな、と思います。それと、ずっと孤独と戦ってきた秋瞑は、戦うということに執着しているのかもしれませんね。

美波が演じる如月秋瞑(しゅうめい)教団の方向を変えてしまうキーパーソン

秋瞑の妄想と暴走からストーリーはあらぬ方向へ加速していきます。正彦と誠が最後に言ったように、信者たちをそうしてしまったのは正彦と誠です。

金儲けや教団拡大に目を向けずに、信者たちに目を向けるべきだったのでしょう。

これって日常生活においても言えることではないでしょうか。大切な物事は身近なところにある。つい見落としがちになることが多いですが、見落としてはいけないことです。

秋瞑の暴走記事はこちらにも書いてます。

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