感動で涙が溢れる最終話、ドラマ「お別れホスピタル」感想ネタバレ

2月24日で最終回を迎えたNHK土曜ドラマ「お別れホスピタル」。全4回が短いな~と思ってしまいます。

赤根は下咽頭癌(かいんとうがん)ステージ3

患者の大戸屋次郎(きたろう)は看護婦長・赤根涼子(内田慈)に折り紙を折ってくれと懇願。時間があるときはするけど、毎度は答えられないと伝えると「早く死ねばいいと思っているんだろう」とスケッチブックに書く大戸屋。

赤根は下咽頭癌(かいんとうがん)ステージ3。辺見(岸井ゆきの)とカラオケボックスへ行くと癌を告白する。一人息子が第一志望の私立大学に受かったからすぐに職場復帰しないといけない、と明るく気丈にふるまう。

こんな告白されたら、なんて答えたらいいでしょうか。私だったら、この後、歌なんて歌えません。

職場で休職を伝え、早く復帰します!と元気な様子。人生にハードルがあったほうが馬力がでる、医療の力を信じている、と辺見に言うが、間をあけて「全部ウソ、死んだらどうしよう」と弱音を吐く。

病院の屋上から見える美しい海の景色と、辺見に心を許していたからでしょうか、弱音を吐けて良かったと思います。

赤根と息子は病室で親子喧嘩。大学へは行かず、働きながら母の看病をしたいという息子と大学へ絶対に行けという母・赤根。

「私の生きがいを奪うな!」と言う涙目の赤根の顔が印象的。「死なないで。」と泣き崩れる息子。うるっときます。

福山ハルの一人息子は母の年金暮らし

優しくてとても性格の良い福山ハル(樫山文枝)。胃がんとリンパ節を患っている。「生きてることくらいしか、息子の役にたてない」とつぶやく。その一人息子は母の年金で暮らしている引きこもり。息子は病院からの呼び出しで久しぶりに現れる。

ハルの症状が思わしくないため、手術をするか問われると、もう一度話がしたいので手術をしてほしいと息子が言う。母は自分が引きこもりで無職なのは自分のせいだと思ってるから、話がしたいと。

親の年金暮らし、よく耳にします。出来るだけ長生きしてもらいたいのはお金の為?しかし、この息子は母に伝えたいことがあるみたいですね。

ハルは目を覚まし、息子の顔を見つけると満面の笑顔。母の看病をする息子は、就職したからお金の心配はしなくていいよ、というと嘘だとわかっているかのように、無理しなくていいのよ、というハル。

就職したのは嘘だと、広野医師(松山ケンイチ)に告白する息子。病院に福祉相談窓口もある、と伝えるが拒否する息子。自転車のチェーンがうまく直せないから気が向いたら電話してくれませんか、と遠回しに優しく手を差し伸べる広野医師。

内気で引きこもりの人の対処方法は難しいです。広野医師の気遣いが優しさに溢れています。

幸村ハルは昔「塩げんこつ」今は自由人

教師だった幸村ハル(根岸季衣)は堅物で、あだなが硬いおかき『塩げんこつ』だった。今では認知症と多発性ラクナ梗塞を患い、ケアワーカーの南啓介(長村航季)ラブ、の毎日。

過去の堅物が年齢を重ねて、我慢していたデレデレに目覚めたのでしょうか。認知症を患うと性的コントロールを抑える『扁桃体』という脳機能が不全になることがあるらしい。全開?になるのでしょうか。(苦笑

自殺願望がある辺見の妹・佐都子(小野花梨)は幸村を知っていた。会ってみたいと辺見に言う。ケアワーカーの南に連れられた幸村に「私の事覚えてますか?」と聞く佐都子。せっかくのラブラブデートを邪魔されたくないと、返答もせずに通り過ぎる幸村。

佐都子は幸村を追いかけ、「待てよ、塩げんこつ!」と、中学時代に校則でガンジがらめだった恨み節をぶつける。「歳とるとね、だんだん自由になってくるの。」とニコニコ顔で答える幸村。

佐都子は幸村にあったことで死ぬことばかり考えてきた自分を見つめなおす。もし本当に歳をとったときに死にたいと思わなくなるなら、今死ななくてもいいのかなと思う、と。

辺見に対して「ごめんね、お姉ちゃんたくさん我慢してきたでしょ。」と、佐都子の事で手いっぱいだった母に振り向いてもらえなかったことを謝る。その後ふたりで母のもとを訪ねる。

ポロリと涙がでました。やはり、母の愛情は誰しも求めるものです。母はそれなりに一生懸命なのですが、子供が望む愛が得られないこともあります。

資産家・池尻奈津美の最後

池尻奈津美(木野花)はいつも自社ビルの権利書を握りしめ、絶対に人には譲らないと話していた。いつもは気丈な池尻はだんだん元気がなくなり、「死ぬのか怖い、あんたの顔を見るとつい言っちゃう。」と辺見の手を握り、静かにつぶやく。

池尻の自社ビルに学生時代よく通っていた辺見。そのことを伝えると元気に会話をする。もういい、とか言わないでくださいと、ツネる辺見。ツネり返す池尻。

その後、脳梗塞で絶命した池尻。口には権利書のかけらが。

誰にも譲りたくなくて食べちゃったんですね。綺麗に死に化粧とエンゼルケアを施術する辺見。愛を持ってお別れ、ですね。

自分がいなくなったら、どうするんだろうと思う家族

一日でも長く生きさせたいと、延命治療を願い出た水谷の妻(泉ピン子)。時間が経つにつれ、それが夫の為になったのだろうかと自問自答し、病院から足が遠のく。そんな水谷は付き添いのベッド横で突然逝ってしまう。

目を覚まさない娘を看病する佐古(筒井真理子)が水谷と話をしたことを辺見に話す。ナースステーションを眺めながら、患者の為に奔走するスタッフを微笑みながら見つめ「私がいなくなってもここのスタッフさんがお父さんを最後まで看取ってくれる。爪がきれいに切ってあったのよ。」と。

佐古も以前、自分が癌宣告を受けたことで一度は娘と心中しようとしたが、「私も水谷さんと同じ、私がいなくなっても大丈夫と思う。」と辺見に伝える。

退院することがほとんどない終末医療の病院。身内がいなくても、最後まで温かく看取ってくれる有難い施設ですね。

最終回で心が温かくなるシーンとまとめ

大戸屋は呼吸が困難になり死にかけた時に、辺見から「赤根さんが来ますよ!」と言われ一命をとりとめた。別の日コツン、コツンと赤根の足音が聞こえると、大戸屋は反応する。

赤根が顔を出し、死にかけたそうですねというと、鬼婆の絵を見せて「早く死ねばいいと思っているんだろう」という字を見せる。赤根は「死ねばいいのになんて思ったこと一度もない」と言うと、声の出ない大戸屋は「い・き・ろ」と口パク。

涙腺崩壊場面でした。赤根役の内田慈さんの何とも言えない、泣きそうで泣かない表情が涙を誘います。

辺見と広野医師が居酒屋で、誰かと話した方がいいとカウンセラーに言われたことをしゃくだけどそうだ、と話す。患者さんや家族が最後に「これで良かった」と言う、そう思うしかない、と。

「誰かが見届けてくれるから安心して死ねる。」「じたばたしながら頑張って生きるしかない。」「死ぬって何だろう。」

自ら命を絶った本庄(古田新太)と出会った朝日の見える海岸で、そんな気持ちをつぶやく辺見がとても美しく、印象的なシーンでした。

原作はまだたくさんのストーリーがあり、ドラマでももっと観たいな、と思います。ゆっくりした雰囲気の中、消えゆく命と生きる命。丁寧な演出でとても素敵なドラマでした。

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