麻生久美子が主演のドラマ「冬の終わり」感想後編

麻生久美子さん主演「冬の終わり」3・4話の感想ネタバレです。

NHK夜ドラNHK総合 毎週月曜日~木曜日 午後10:45~11:00 NHKプラスで見逃し配信、金曜日の11時45分~(1週間分を続けて放送)

麻生久美子が演じるドラマでの定岡の事情

朋己(麻生久美子)とみつき(伊東蒼)は定岡(浅田美代子)の住む古い一軒家でユーミンの「冬の終わり」のカセットテープを探す。

定岡にはダイチという一人息子がいるが、今は家を出ているので定岡は一人暮らし。家にはダイチが残した漫画やカセットがたくさん残してある。

4年前に夢を叶えたいと家を出ていった、現在42歳。現在の名前はせいや、東京でホストをすると言っていた。ちなみに源氏名・せいやは聖闘士星矢から名付けられた。元ひきこもり。

42歳元ひきこもりで、ホスト。ん~っ厳しい現実っぽいですよね。家には大量の漫画にカセット。かなり自分の世界に浸っていた様子が描かれているので、現実社会にデビュー後は大丈夫でしょうか。しかし、いくつになったとて殻を破って行動したのは立派だと思います。

懸命に探す朋己はユーミンのラベルが貼ってあるカセットを見つけて流してみるが息子・ダイチの歌う「冬の終わり」が流れてくる。恥ずかしがる定岡。他に無いか探しているところへ、正社員・前田(クリスタルケイ)が向かっていると連絡が入る。

朋己は、前田が来ると聞いておもむろに席を立ち、CDラジカセを買ってダビングするので大丈夫です、保育園のお迎えがあるし、『密』になるから帰ります、と帰ろうとする。

麻生久美子が演じるドラマでの藤田朋己の個性

定岡の家から帰ろうとする朋己は、呼び止められミルクティー飲んでいってと言われて座りなおす。朋己は「いいですね、定岡さんもみつきちゃんも友達がいて。」と話し出す。

定岡がスーパーで働きだして10年、みつきが入ってきてから1年ちょっと前、仲良くなったのはつい最近。定岡は、介護で余裕がなく怒りっぽかったそうが昨年やっと介護が終わった。

「仙川さんもおうちのことでいっぱいいっぱいなんじゃないのかな、誰かと話したくない、とかそうゆうことじゃなくて。あなたもそうでしょ。」と定岡が朋己に核心をつくように話す。

浅田美代子さんの優しい語り口が、ストレートな発言をじんわりと心につくように朋己の口を開かせます。

朋己「昔から人と集まるのが苦手で、・・・」と話し出す。「前よりももっと沈黙に怯えるようになっちゃったんです。あの曲がかかった時のあの空気をもう一回取り戻したいんです。」

みつきがその場の雰囲気を変えようと、息子が歌う「冬の終わり」のカセットを押して流れると、その横にもうひとつのカセットが入っていて、ユーミンの「冬の終わり」が見つかる。

朋己もいっぱいいっぱいの毎日だったんですね。もともと人とのコミュニケーションは上手ではないけれど、定岡とみつきを見ると羨ましさを感じる。

仙川に友達になってほしい、と切に願っているわけでもないが年齢も近そうだし、話をしてみたいという気持ちはあるが、どうやって切り口を見つけてよいかわからないところへあの曲が流れたのですね。

朋己の不器用ながらも、地味に行動をおこすところが健気さと愛おしさを感じます。

麻生久美子が演じるドラマで、退職する西岡の最後の日

正社員の西岡(成嶋瞳子)は、退職する最後の日、子供の頃から大好きな『コンタちゃん』のラーメンを自分用に作りながら、朋己に話しかける。「短い間でしたけどありがとうございました。今日が最後です、私の事(噂話)聞いてますよね。」

西岡は「彼、幼馴染だったんです。去年脱サラして奥さんと帰ってきて、小松菜の有機栽培始めて…。母親失格です。離婚が成立したら妹のところへ行きます。すみません、誰かに聞いてほしくて。」と。

朋己は、答えづらいのか小さな声でうなずく程度。続けて西岡は「私、1ミリも後悔してないんです。」と笑顔でラーメンを持って裏へ。箸を忘れていることに気がついた藤田は西岡を追いかけるように裏口の扉を開けると、そこには不倫相手の幼馴染が。

呆然とラーメンを持って立ち尽くす西岡に向かって、「もう離さないって言ったよね。」とイケメン小松菜農家の幼馴染が告白する。朋己は慌てて調理場へ戻る。

なんだこれ?すごいラブストーリー。中年主婦の情熱的な不倫物語。こんな日常もどこかであるのかもしれないですね。1ミリも後悔してないって、なんか凄い大胆な言葉。平穏な結婚生活を終わりにしたんですね。西岡さん、純愛だったのでしょうね。

そして、西岡さんって『コンタちゃん』愛が強いようですね。仙川も朋己もそして西岡自身も幼い頃から『コンタちゃん』に来ていたのが共通点。仙川が面接で採用になったのも、昔よく通っていた、の発言で採用決定ですもんね。

麻生久美子が演じるドラマ、仙川の事情

2023年11月23日、介護ヘルパーさんとの会話で、お父さんは厳格な方だったみたいですね、と聞かれて、昔は『呑む・打つ・買う』で母親は自分が中学校の時に出ていき再婚している、と答える仙川。

ヘルパーさんは「お父さんの介護も大事ですけど、ご自分の将来も考えていいと思いますよ。介護が終わっていたら自分が老人になっていた、とか。」

介護ヘルパーさんって介護が必要な当人だけではなく、介護する側の家族のケアもしてくれる方もいます。介護をすることで疲弊しないように、優しいアドバイスを投げかけてくれるんですよね。

夜に自分の部屋で東京のウェブデザイナーの元同僚たちとリモート飲み会に参加するも、話についていけない。途中、トイレの世話でヘルパーさんに呼び出される。引っ越しの段ボールが開けられていない部屋で、心は、すさんでいく。

次の日、食事の介助をしていると、皿事投げ飛ばす父。ヘルパーさんが台所に立っている姿を見た父親は妻と思い、何かを言いたげに手を伸ばす。「母さんじゃない!」という仙川の声を聞くと、伸ばしていた手を仙川の頭に置く、父。切ない場面です。

仙川はこぼされた食べ物を片付けながら、不穏な表情でパートに出かける。仙川は出勤前にマスクをつけ、涙目を押し殺し笑顔を作ってフードコート『コンタちゃん』へ入る。

定岡が言う通り、父親の介護で仙川はいっぱいいっぱいなんですよね。

朋己が約2か月入念な下準備をして、いよいよ待ちに待った『冬の終わり』が流れるタイミングが来た。正社員の前田がセッティングしてくれた、鮮魚売り場のタイムセールのあと14:04頃に流れる予定。

前田役のクリスタルケイがラップを口ずさむ場面、朋己は不器用に身体を微妙に動かしてました。少し前田に心開いてきたのでしょうか。

仙川の勤務時間は午後2時から。定岡もみつきもこっそり見守るなか、仙川が出勤する。いよいよ曲が流れ始めると直立不動で外を見て立っていた仙川が、何かを見つけたように「ちょっと外していいですか。」と言って外へ飛び出し走り出す。

麻生久美子が演じるドラマ、仙川が見たものは

仙川が突然『コンタちゃん』を出て走り出した先に見たものは、出ていった母親の幻覚。仙川は母親を追いかけるようにずっと走り続け、あとから朋己も「仙川さん!」と叫びながら追いかけていく。

仙川が中学の頃、母親が台所で料理をしながらブツブツとひとりごとを言いながら肉じゃがを作っていた。仙川はテレビドラマを観ながらアイスを食べていた。母親が話しかけても返事をしない。

母親は「お父さんにそっくり。」と言いながら鍋に火をかけたまま出て行ってしまう。それっきり。

『呑む・打つ・買う』のお父さんに疲弊していのでしょうか。せめて仙川が返事をしていたら、出ていかなかったのかもしれません。お母さん、何かがプツンとキレたのかもしれませんね。

「冬の終わり」歌詞にのせて、仙川は走り続けるが藤田の仙川さーん!と叫ぶ声が聞こえると、マスクをはずして立ち止まり泣いているのか笑っているのか、感情を吐露する。

疲弊して出ていった母親への後悔、そして今、自分も疲弊していることで母親への気持ちが湧き出してきたのでしょうか。あの時返事をしていれば…。

「しくじり」をユーミンに歌ってもらうと救われると言っていましたね、母へ返事をしなかったこと、なのでしょうか。

麻生久美子が演じるドラマ、友情は芽生えるのか?

朋己は仙川を追いかけたが追いつかず、諦めてフードコードに戻ると、前田、定岡、みつきが心配して待っていてくれた。テープはあるからまたチャレンジしよう、と励まされ、よし、今日は飲もう!と言われて「定岡さんのミルクティーが飲みたい。」と答える朋己。

ふと見上げると、仙川が階段の上から朋己たちを見ていた。マスクを外し、まっすぐに朋己たちを見ながら、一歩一歩おりてくる。

なんだか、これから先の楽しいパート生活が予想される気がします。朋己も仙川も、押し殺してきた感情を開放することで、友人とはいかないまでもパート仲間として少しづつ人間関係を築いていけたらいいですよね。皆さん、温かい人々です。

ラストシーンでフードコート『コンタちゃん』のキツネのマスコットが映り、軽快な有線放送の音がくが流れています。コンタちゃんがパートの皆んなを見守ってくれそうです。

ドラマ「冬の終わり」のまとめ

たまに、フードコード『コンタちゃん』の監視カメラ映像みたいなアングルが出てきます。日付と時間が記載されています。なんだかそのアングルが独特感とリアル感があってドラマがとても独奏的。

登場人物にそれぞれの事情があり、問題が解決するものではないけど皆んな懸命に生きて、何かを終わらせ、何かを始めているのがこのドラマの醍醐味かな、と思います。

不倫した西岡さんが言っていた「誰かに聞いてほしかった」という言葉は、人が一番正直に思っている言葉ではないでしょうか。答えをだしてもらいたいのではなく、ただ聞いてほしい。

いっぱいいっぱいの生活の中に、ちょっとだけ自分の話に耳を傾けてくれる人がいたら、息抜きになるのかもしれませんね。噂話好きの人にあたると大変なので、そこはしっかり人選して。(笑)

伏線が飛ぶので全部を観ないとつながらない部分があると思いますが、地味だけど、癖の強い私好みのドラマでした。是非、通しでの視聴お勧めします!

このドラマの感想前編はこちらhttps://tvfreakchannel.net/yumins-dirama2-1157

 

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